top of page

英語で学ぶ自己愛(1)

組織論を専門とする経営学者として、また、チームワークやチーム訓練の研究者として、集団力学(group dynamics)には大変関心があります。その観点から、最近興味深い発見がありました。

モラハラ、パワハラ、セクハラ、いじめ、虐待、それらに共通する現象があるのです。




Photo by elifskies from Pexels



強きが弱きを挫くパワー構造は、たとえば日本では、モラハラ夫とカサンドラ症候群の妻、というようなケースが典型としてあり、モラハラ夫はアスペルガーとして分析されることが多く見られますが、アメリカではこのような集団力学は、ほとんどの場合、自己愛性人格障害者とその犠牲者、という図式で分析されるのが一般的です。


多人種間でのサンプル調査で、自己愛性人格障害者(Narcissistic Personality Disorder : NPD)は全体の6.2%、男性の7.7%、女性の4.7%、というデータが出ています。男性が100人いれば、少なくとも、ほぼ8人がNPDということになります。この調査は色々と制限もありましたので、臨床からの現実的な手応えとしては、簡単に1割は超すだろうと言われています。ほぼほぼ、10人に1人、と言っても差し支えないくらいなのです。


NPDの大きな特徴として、賞賛を求める、誇張する、他人への共感性の欠如、が挙げられます。他人より優れていないと気が済まず、そのために嘘をついたり、他人を支配したり傷つけたりします。


夫婦関係のように1:1であれば、他人がいる時はフレンドリーで親切なのに、ふたりきりになった途端に傷つくようなことを言ったりしたりします。ジキルとハイド、と表現されるほどの二面性を備えます。


職場などの3人以上の集団では、最もいじめやすい人間をスケープゴート(scapegoat)として狙い定め、他の人間を空飛ぶ猿(flying monkey)として操ります。空飛ぶ猿(flying monkey)、というのはもともと、オズの魔法使いの中で、西の魔女が操っていた空飛ぶ猿にちなんだ用語で、アメリカの臨床心理学ではよく用いられます。配偶者の実家病なども、このパターンですし、学校でのいじめもこのパターンです。


アメリカでは最近、臨床心理士やカウンセラー、離婚弁護士らによる自己愛からの身の守り方などの番組が非常に人気です。こうした集団力学による苦しみ、悩みは、世界共通なのですね。

このブログシリーズでは、そうしたアメリカの最新の議論を紹介していきたいと思います。

英語のキーワードも、都度、説明をしていきますので、ご自身で英語の情報にアクセスされる際にご参考ください。


もし今、あなたが感情的虐待を受けて傷ついているとしたら、ぜひ、communityからメンバー登録をして、あなたの悩みを教えてください。少しでも役立てる情報を、共有していけたらと思っています。



参考

All about narcissistic personality disorder, Medical News Today

閲覧数:37回0件のコメント

最新記事

すべて表示
bottom of page